前回までのあらすじ……
またまた唐突だが、諭吉が再び行方不明になってしまった！
「ひょっとして、また攫われたんじゃ……」
心配するアリスちゃんの元へ、やっぱり手紙が届く。
勿論消印はモンスター島。
今度はちゃんと差出人の名前が書いてある。
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『コンドコソ ケッチャクヲツケテヤル！ ユキチヲカエシテホシケレバ コチラニコイ！ ヤミアリス』 |
「…………」
……学習能力無いぞ、カラス！
一瞬、見捨てようかと思ったアリスちゃんだが、頭を振ってその考えを追出す。
「……皆には悪いけど、また力を貸してもらわないと！」
再びアリスソフトのキャラクターを召喚するアリスちゃん。
今度は最初から総勢25名の大パーティー。
もう一度、モンスター島の39のマップをクリアし、諭吉を助け出すのだ！
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いきなり最終回
モンスター島の全てのマップをクリアし、最終ステージに辿り着いたアリスちゃん一行。
彼女等の前に現れたのは、諭吉を入れた籠を手にした闇アリス。
「ぐわわーーーー！！」
「諭吉！ 無事だった！？」
「良くここまで来れたわね。でも、今回はこれまでよ。
今度こそ貴女を倒し、私がマスコットキャラになる！」
そう言って胸を張る闇アリスは、何故か一人だけ。
「貴女一人で何が出来ると言うの。大人しく諭吉を放して降参しなさい！」
「ふふん、誰が一人ですって？ 私には強い味方がいるのよ。
貴女のお仲間、……誰か一人足りないんじゃなくて？」
「えっ！？」
言われて指折り数えだすアリスちゃん。そういえば前回は自分を含めて、確か26人だったはず。足りないのは……
「まさか！」
「そう、ラ……」
「がははははっ！ ランス様参上！！」
闇アリスの声を遮り、高笑いを響かせながら現れたのは誰であろう、鬼畜戦士ランスであった。背後には五十六とアールコート、それにサテラを従えている。
「ランスさん！？」
「ランス！」
声を上げるアリスちゃんと志津香。他の者も殆どが驚きを隠せない。
「そんな…… ランスさんどうして……？」
「ふん、前回俺様が手を貸してやったのに、何の報酬も寄越さなかったのはどこのどいつだ？」
（そう言えば皆を元の世界に還した時、ランスさんが何か騒いでいたような……）
今更ながら思い出すアリスちゃん。
「そう、だから私がランスさんと取引したの。貴女を倒して私がマスコットキャラになった暁には、貴女と貴女に付いて来た女の子をランスさんにあげる、ってね」
言われて蒼白になるアリスちゃん。ランスにあげるという事はつまり、あんな事やこんな事をされてしまうという事だ。
アリスちゃん、ぴーんち。
引き気味のアリスちゃんに代わって志津香が前に出る。
「あんたねえ…… こんな鬼畜男と取引して、あんた自身無事で済むと思ってんの？」
「…………しくしく」
言われて、だくだくと涙を流し始める闇アリス。
「……ううっ、私、初めてだったのに……五回も……全部中で……危険日だったのに……うええーーん」
何を五回で、何が「中」なのかは全く謎である。
「がっはっはっ！ 心配するな、子供が出来たらちゃんと認知してやる！」
慰めにならないフォローをするランスだが、当然闇アリスは泣き止まない。思わずアリスちゃん一行も彼女に同情してしまう。
（そう、闇アリスちゃん、貴女はもう綺麗な体じゃないのね…… でもちょっと羨ましいかも……）
そんな事をアリスちゃんが考えている内に、何とか立直る闇アリス。
「と、と言う訳よ。大人しく降参して、私にマスコットキャラの座を譲りなさい！」
降伏勧告を行なうが素直に従おうとするものはいない。
「そう言われて素直に降参すると思っているのですか？」
「そーだにょー！！」
「ふっ、邪悪な者よ。この私が成敗してやる」
「みゅうーー♪」
皆の声に勇気付けられたアリスちゃんも声を張り上げる。
「そうです！ 貴女達五人で私達に勝てるつもりですか！？ 貴女達こそ降参しなさい！！」
その言葉に揃って人を小馬鹿にした笑みを浮かべる闇アリスとランス。
「ふん！ 誰が五人だと？ 愚か者め！！」
言ってランスが片手を揚げると、周囲のそこかしこで聞こえる鎧の金属音。皆が驚いて周りを見ると、どこから現れたのか夥しい軍勢に囲まれていた。前方にはリーザス軍、左手はヘルマン軍、右手にはゼス軍、そして後方と上空は魔物軍と、一体全部で何万になるだろうか。
「ま、まさか…… ランスさん、貴方は……」
ある事に気付いてアリスちゃんがランスに顔を向ける。
「がはははは！ 五十六とアールコートがいる時点で気付くべきだったな！
そう！ 俺様は『鬼畜王ランス』の…… しかも世界王となったランス様だっ！！」
ふん反り返って高笑いするランスに対し、アリスちゃんをはじめ皆も声が出ない。しかし逸早く志津香が我に返り、ランスに叫ぶ。
「待ちなさいランス！ こっちにはシィルちゃんがいるのよ！ 私達に何かしたら……って、ええっ！？」
志津香がシィルの方に目を向けると、何とシィルがアリスちゃんを羽交い絞めにし、マリアがチューリップ１号を突きつけていた。いきなりの事に目を白黒しているアリスちゃん。
「ちょっと、シィルちゃん、マリア！ 何やってんのよ！！」
絶叫する志津香に二人は申し訳なさそうに答える。
「すみません。私はランス様に逆らえないんです……」
「ごめんね、志津香。ランスが研究所の予算を倍にしてくれる、って言うから……」
この二人も『鬼畜王ランス』から来たらしい。
その様子を見ながらランスは満足そうに笑ってアールコートに声を掛ける。
「上手くいったようだな。良くやったアールコート」
「あ、ありがとうございます、王様……」
ランスに誉められて嬉しそうに微笑むアールコート。どうやらアールコートの作戦だったようだ。
一方、アリスちゃんを人質に取られたアリスちゃんの仲間達は、何とか事態を打開しようとしていたが、
「……本当にごめんねぇ」
謝りつつマリアが球を幾つか取り出し、周りに転がす。地面に落ちた球は二三度バウンドすると、突然猛烈な勢いで白い煙を噴出し始める。
「な、何よこれー！」
「ハーーックション！」
「目が、目がぁ……ああぁ！」
「催涙ガスだ！ 息を止めろ！」
「そんな無茶な……げほげほ」
忽ち大混乱に陥るアリスちゃん一行。ちなみにシィルとマリアはちゃっかりガスマスクを着けている。
「よーし！ 全員捕まえろ！！ 抵抗する男は殺して構わんが、女の子には傷をつけるなよ！！」
ランスの命令一下襲い掛かってきた軍勢に、アリスちゃん達はなす術も無く捕まってしまうのであった。
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こうして闇アリスは念願のマスコットキャラの座を手に入れ、ランスはアリスちゃんをはじめとする沢山の女の子を手に入れる事ができ、二人とも大満足だった。
そしてアリスちゃん達はリーザス城のハーレムに連れて行かれ、末永く幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし？
おまけ
「ぐわーー！ ぐわっぐわっ！！」
「いい加減に諦めて私をマスコットキャラと認めなさい、諭吉！」
アリスちゃん達がリーザス城に連れて行かれた後、闇アリスと諭吉が何やら争っていた。そこにやってきたのはランスである。
「よう、こんな所にいたのか闇アリス」
「あ、ランスさん。この度は力を貸していただいてありがとうございます。お陰で念願のマスコットキャラになる事が出来ました」
「うむ、死ぬまで感謝するようにな！ がはははは！」
丁寧に御礼を言う闇アリスに、ふん反り返るランス。
「それで、まだ何か御用が？」
「おう、忘れ物だ」
と言ってランスは闇アリスの腕を掴む。
「お前も俺様のハーレムにきて貰うぞ！」
「そ、そんな！ 私はマスコットキャラとして……」
「それは構わんが、お前も俺様の女なんだからな。ハーレムに来るのが当然だ。
それにやって貰う事がある」
「や、やる事って……」
ランスの言葉に何やら不吉なものを感じて怯える闇アリス。
「俺様と俺様の軍隊を他の世界に送るのだ。俺様は『大陸』のみならず、全ての『世界』を手に入れ、大帝王となるのだ！ がはははは！！」
「そ、そんなぁ〜〜……」
哀れ、ランスに引き摺られていく闇アリス。
「ぐ、ぐわ〜〜……」
一羽残された諭吉はそれをただ見ているしかなかったのだった。
おしまい
かえるにょ国にょアリスをクリア後、一日で書き上げました。（笑）
まあ、こういう事もある訳で。